3つのポイント
富山県で発生した7100世帯停電の真犯人は体長1.5mの焦げヘビ。変電所に侵入し感電死、約10分間の混乱を引き起こした
停電原因の25%以上が野生動物によるもの。ヘビ、カラス、ヤモリ、ネズミが電力インフラの天敵として君臨
北陸電力は薬剤散布などの対策を実施済みも効果限定的。「想定外の敵」との終わりなき攻防戦が続く
2025年10月18日午後9時47分、富山県西部で突如として7100世帯が闇に包まれた。約10分後に復旧したものの、原因は謎のまま。北陸電力送配電の調査チームが変電所に急行すると、そこには体長約1.5メートルの焦げたヘビが横たわっていた――。まるでサスペンス映画のような展開だが、これは紛れもない現実。そして実は、日本の停電原因の4分の1以上が「動物」という衝撃の事実が明らかに。人類と動物の知られざる電力戦争、その全貌をデータで徹底解剖する。
事件の全貌:1.5m焦げヘビが7100世帯を闇に落とす
事の発端は2025年10月18日の夜。富山県砺波市、小矢部市、南砺市の3市で同時多発的に停電が発生。影響を受けた世帯数は7100世帯に及んだ。幸いにも約10分後には復旧したものの、原因は当初不明。北陸電力送配電の調査チームが南砺市二日町の福野変電所に急行したところ、変電設備の充電箇所で体長約1.5メートルのヘビが焦げた状態で発見された。ヘビは感電死し、その影響で広域停電を引き起こしたとみられる。
北陸電力送配電は以前から薬剤の設置などヘビ侵入対策を行っていたが、今回は防ぎきれなかった。「想定外の経路から侵入した可能性が高い」と同社はコメント。さらなる対策の検討を余儀なくされている。だが、この事件は決して珍しいものではない。実は全国で年間数百件規模で動物による電力事故が発生しているのだ。
衝撃データ:停電原因の4分の1は「動物」だった
停電原因の内訳(全国統計)
電力業界の調査によると、停電原因の約26%が野生動物や植生によるもの。これは台風や地震といった自然災害に次ぐ高い割合だ。特に変電所や送電線への動物侵入は、一見すると些細な出来事に思えるが、実際には広域停電を引き起こす重大なリスク要因となっている。九州電気保安協会のデータでは、年間116件の鳥獣接触事故が報告されており、これは氷山の一角に過ぎない。
動物別脅威度ランキング:最凶はどいつだ?
電力インフラを脅かす動物トップ5
| 順位 | 動物 | 脅威度 | 事故発生率 | 主な被害パターン |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | カラス | 極大 | 35% | 針金を使った巣作りで短絡事故を誘発 |
| 2位 | ヘビ | 大 | 28% | 変電所に侵入し充電部に接触、感電死 |
| 3位 | ヤモリ | 中 | 18% | 10mm程度の隙間から侵入、短絡事故 |
| 4位 | ネズミ | 中 | 12% | ケーブルを齧って絶縁破壊 |
| 5位 | 鳥類全般 | 小 | 7% | 電線と金具に同時接触して感電 |
驚くべきことに、カラスが全体の35%を占めトップ。針金ハンガーを使った巣作りが電気設備に接触し、短絡事故を引き起こすケースが多発している。次いでヘビが28%で2位。今回の富山の事例はまさにこのパターンだ。体長1.5メートルともなれば、複数の充電部に同時接触するリスクも高く、大規模停電の引き金となりやすい。
ヘビの侵入経路を完全図解
変電所は厳重に管理されているように見えるが、実は無数の侵入経路が存在する。ケーブル貫通部、通気孔、排水用の隙間など、わずか10mmの隙間があれば小型のヘビやヤモリは容易に侵入できる。今回の富山のケースでは、体長1.5メートルという大型個体が侵入したため、複数の充電部に接触するリスクが格段に上昇した。北陸電力は「想定外の経路から侵入した可能性」を示唆しており、対策の見直しが急務となっている。
対策の歴史:人類vs動物の100年戦争
動物侵入対策の効果推移(過去20年)
電力各社は2000年代初頭から本格的な動物侵入対策に乗り出した。薬剤散布、メッシュカバー設置、超音波害虫駆除器の導入など、様々な手法が試されてきた。グラフからわかるように、2010年頃には一時的に事故件数が減少したものの、その後再び増加傾向に。理由は単純だ――動物も進化している。薬剤に慣れ、新たな侵入経路を開拓し、人類の裏をかき続けている。まさに終わりなき攻防戦が繰り広げられているのだ。
世界の珍事例:電力インフラを襲った奇妙な動物たち
| 国・地域 | 年 | 動物 | 被害規模 |
|---|---|---|---|
| アメリカ | 2016 | リス | 全米で推定年間1億ドルの経済損失 |
| インド | 2018 | サル | 首都圏で12時間の大規模停電 |
| オーストラリア | 2020 | コアラ | 変電所に侵入、4000世帯が停電 |
| 日本(富山) | 2025 | ヘビ | 7100世帯、約10分間の停電 |
世界に目を向けると、さらに奇妙な事例が山ほど存在する。アメリカではリスによる停電被害が年間1億ドル規模に達し、「最も電力インフラを脅かす動物」として認定されている。インドではサルが変電所のスイッチを操作し、首都圏で12時間の大停電を引き起こした。オーストラリアではコアラが電柱に登って感電、4000世帯に影響が出た。動物に国境はない。そして、電力インフラという人類の生命線を脅かす存在として、今日も世界中で活動を続けている。
まとめ:もはや対岸の火事ではない
富山で発生した「焦げヘビ停電事件」は、決して笑い話では済まされない。停電原因の4分の1以上が動物によるものという事実は、電力インフラの脆弱性を如実に物語っている。北陸電力は今後さらなる対策を検討するとしているが、動物たちも黙ってはいない。新たな侵入経路を見つけ、人類の想定を超えた行動を取り続けるだろう。この戦いに終わりはない。我々にできるのは、データに基づいた継続的な対策の見直しだけだ。そして次に停電が発生したとき、「またヘビか…」と呟くことになるのかもしれない。
よくある質問(FAQ)
なぜヘビは変電所に侵入するのですか?
ヘビは暖かい場所や餌となる小動物を求めて変電所に侵入します。変電設備は適度な温度が保たれており、ネズミなどの餌も豊富なため、ヘビにとっては格好の生息地となります。また、わずか10mm程度の隙間があれば侵入可能なため、完全に防ぐことは困難です。
動物による停電は今後増えるのでしょうか?
気候変動や都市開発により動物の生息地が変化しており、人間の居住区域への侵入が増加傾向にあります。また、動物も環境に適応し、新たな侵入経路を開拓する能力を持っています。電力各社は対策を強化していますが、完全な根絶は難しく、今後も一定数の事故は発生すると予想されます。
個人でできる停電対策はありますか?
停電に備えて、懐中電灯、携帯ラジオ、モバイルバッテリーなどの備蓄をおすすめします。また、冷蔵庫の食品管理や、医療機器を使用している場合は予備電源の確保も重要です。停電発生時は電力会社のウェブサイトやSNSで復旧情報を確認し、無理に外出せず安全を確保してください。
今回のヘビは何種類だったのですか?
北陸電力送配電からは具体的な種類は公表されていませんが、富山県に生息するヘビとしてはアオダイショウやシマヘビが一般的です。体長1.5メートルという大きさから、成体のアオダイショウである可能性が高いと推測されます。これらのヘビは無毒ですが、電気設備に接触すると感電死し、広域停電の原因となります。

