テクノロジー

M5 MacBook Pro 24.8万円は『庶民価格』⁉ Vision Pro 60万円で軽自動車が買える件

テクノロジー
この記事の3つのポイント
Apple M5チップはAI性能3.5倍を実現。もはや人間の脳を超えた(と言いたいらしい)
MacBook Pro 14インチは24.8万円から。円安時代の「庶民価格」がこちら
Vision Proは59.98万円。もはや高級車の頭金レベルの価格設定に
Appleが2025年10月15日、M5チップを搭載した新型MacBook Proを発表した。価格は14インチモデルで24万8,800円からという、もはや「庶民の手が届く範囲」を完全に見失った価格設定。同時にiPad ProとVision ProもM5搭載版が登場し、特にVision Proは59万9,800円という、軽自動車が買える価格で市場に投入される。AI性能3.5倍、バッテリー24時間という数字を並べながら、我々の財布の中身は一向に増えない。これが2025年のテクノロジー業界の現実である。
M5チップの「革命的」AI性能を検証
Appleによれば、M5チップは「AIのために新設計された」プロセッサだという。前世代M4と比較してAI性能が最大3.5倍、グラフィックスは1.6倍高速化。さらにM1からアップグレードする場合はAI性能が6倍、GPU性能が6.8倍、CPU性能が2倍高速になるらしい。もはや数字のインフレーションである。
図1: M1からM5までのAI性能比較(M1を基準値100とした場合)
グラフを見れば一目瞭然だが、M5のAI性能はM1の6倍。つまり、4年前のMacを使っている人は、今すぐ買い替えないと時代に取り残されるというメッセージである。Appleの巧みなマーケティングに、我々の財布の紐は緩むばかりだ。ちなみにGPU性能は6.8倍だが、普通の人がそこまでのグラフィック性能を必要とするのかという根本的な疑問は、誰も口にしない。
MacBook Pro価格推移:円安とAppleの絶妙なバランス
MacBook Proの価格は、為替レートと絶妙なダンスを踊っている。2017年から2025年までの価格推移を見ると、円安が進む中でもAppleは「極端な値上げはしない」という姿勢を貫いてきた。ただし、「極端ではない」というだけで、確実に高くなっているのが現実だ。
図2: MacBook Pro 14インチ 価格推移(2017-2025年)
2021年のM1 Pro搭載モデルは23万9,800円でスタートしたが、2022年の円安を受けて27万4,800円に値上げ。そして2025年のM5モデルは24万8,800円と、微妙に前より安いという価格設定。Appleの「値上げしたけど、実は少し下げてますよ」という高度な心理作戦に、消費者は「お、安くなった!」と錯覚する。これぞマーケティングの妙技である。
製品ラインナップ比較:どれが一番「お買い得」?
今回発表された3製品を比較してみよう。価格、性能、そして「本当に必要なのか」という観点から冷静に分析する。
製品名 価格(税込) チップ メモリ最小 評価
MacBook Pro 14インチ 248,800円 M5 16GB 比較的現実的
iPad Pro 11インチ 168,800円 M5 非公開 タブレットに必要?
Vision Pro 599,800円 M5 非公開 軽自動車買えます
表1: M5搭載製品の価格と評価比較
表を見れば明らかだが、MacBook Proは24.8万円で「まだマシ」な方。iPad Proは16.8万円と、タブレットにしては高額だが、Vision Proの59.98万円と比べれば可愛いものだ。ちなみに、軽自動車の新車は80万円台から買えるので、Vision Proは「車の頭金」と同じ価格帯にある。Appleは我々に「車かVRゴーグルか」という究極の選択を迫っている。
Vision Pro 60万円の「妥当性」を真面目に考察
Vision Proの59万9,800円という価格設定について、真面目に考察してみる。果たしてこの価格は妥当なのか?
図3: Vision Pro価格を他の高額商品と比較
グラフを見ると、Vision Proは高級ロードバイクハイエンドゲーミングPCと同価格帯。しかし、ロードバイクは実際に移動できるし、ゲーミングPCは仕事にも使える。対してVision Proは…「空間コンピューティング」という、まだ誰も本当の使い道を見つけていない領域のデバイスだ。Appleは「未来への投資」と言うが、我々の財布は「現在の支出」として60万円が消えていく。
メモリ16GB標準搭載という「神対応」の真実
今回のMacBook Proは、全モデルで最低16GB以上のメモリを搭載。これまで8GBで「十分」と言い張っていたAppleが、ついに重い腰を上げた。しかし、これは本当に「神対応」なのだろうか?
世代 最小メモリ Appleの主張 ユーザーの本音
M1〜M3 8GB 「8GBで十分」 明らかに不足
M4 8GB 「最適化されてる」 やっぱり足りない
M5 16GB 「AI時代に対応」 やっとまともに
表2: MacBook Pro メモリ容量の変遷
結論:Appleは4年遅れで正常な判断をしただけ。M1の時代から16GBにしておけば、ユーザーはもっと快適だった。しかし、Appleは8GBモデルで十分な利益を上げた後、「やっぱり16GBにします」と方針転換。これを「神対応」と呼ぶのは、長年の低メモリ戦略を忘れた健忘症としか言いようがない。
バッテリー24時間駆動で「もう寝なくていい」時代へ
M5 MacBook Proは最大24時間のバッテリー駆動を実現。これにより、充電なしで丸一日作業できる…らしい。しかし、本当にそこまで必要なのか?
M1 Pro 17時間 2021年モデル M5 24時間 2025年モデル +7時間!
図4: バッテリー駆動時間の進化(2021年 vs 2025年)
24時間駆動ということは、朝から翌朝まで充電不要。しかし、人間には「睡眠」という生物学的制約がある。つまり、24時間駆動は「寝ずに働け」というAppleからのメッセージなのかもしれない。バッテリーが24時間持つからといって、我々の体力も24時間持つわけではない。むしろ、人間の方がスペック不足という悲しい現実が浮き彫りになっただけである。
まとめ
Appleは2025年もまた、「革新的」という言葉を武器に、我々の財布を狙ってきた。M5チップのAI性能3.5倍、24時間バッテリー、16GB標準メモリ。スペックは確かに素晴らしい。しかし、MacBook Pro 24.8万円、Vision Pro 60万円という価格は、もはや「気軽に買える」次元を超えている。結局のところ、Appleは「欲しいなら買え、買えないなら我慢しろ」というシンプルな戦略を貫いている。そして我々は、その戦略に見事に乗せられ続けるのである。
よくある質問(FAQ)
M5 MacBook Proは本当に買う価値がありますか?
スペック的には素晴らしいです。AI性能が3.5倍、バッテリー24時間は魅力的。しかし、普通の用途(ブラウジング、文書作成、動画視聴)なら、M3やM4でも十分です。プロのクリエイターや開発者でない限り、「絶対に必要」というわけではありません。財布と相談しましょう。
Vision Pro 60万円は高すぎませんか?
高すぎます。軽自動車の頭金レベルの価格です。ただし、Appleは「空間コンピューティングの未来」を売っているので、早期採用者(アーリーアダプター)向けの価格設定と言えます。一般消費者が手を出す製品ではなく、資金に余裕のある技術愛好家向けです。
メモリ16GBで本当に十分ですか?
一般的な用途なら十分です。ただし、動画編集、3Dモデリング、大規模なコード開発をする場合は、24GBや36GBへのアップグレードを推奨します。Appleはオプションで最大128GBまで選択可能ですが、そこまで必要な人は限られています。
今すぐ買うべき?それとも待つべき?
現在M1やM2を使っていて不満がないなら待つべきです。Appleは毎年新製品を出すので、来年にはM6が登場する可能性があります。ただし、M1以前のIntelモデルを使っているなら、買い替えを検討する価値はあります。円安が続く限り、価格が大幅に下がることは期待できません。
タイトルとURLをコピーしました